内定辞退強要のロジック
城繁幸さんの今から一年ほど前のエントリ(
http://blog.goo.ne.jp/jyoshige/e/2c886cdcb7386163e790bdfd1b5a7561)は、『内定取消!』*1 の書評となっているエントリだ。
で、このエントリで、ずっと気になっているところがあったんだよね:
しかし。本書に出てくる企業の人事担当取締役は、なぜにここまでマッチョなのか。
「内定取り消しなんてしちゃいけないんだ、だから辞退に追い込むんだ」というコンプライアンス意識が
高い人なのはわかるけども、ここまでしちゃうと逆に高リスクだ。
恐らく、企業としてギリギリの瀬戸際にある会社なのだろう。
実は、内定取り消し理由の25%は倒産である(厚労省発表)。「業績の悪化」と倒産でほぼ100%。
50人以上の内定取り消して3カ月後に潰れた日本綜合地所のように、三途の川の手前でうろうろしているような
会社が大半だと思われる。
というところ。たしかに不可解に思っていたので、僕なりにときおり考えていたんだけども。
むしろ逆なんじゃないか
城さんの推測だと、「恐らく、企業としてギリギリの瀬戸際にある会社なのだろう。」ということである。
だけどこれだと、このブラック企業がここまで悪辣な態度を取る理由が、成り立たないんじゃないか……? その他のニュース・ソース等も勘案して考えると、そう思えるのだ。なぜなら、通常の企業における、仕入だの在庫だのといったコスト概念は、このブラック企業*2には、あまりあてはまらないからだ。
それに、経営が傾いていることが仮に真であるならば、厚生労働省の内定取消の条件にも、比較的簡単に当てはまる―とくに難癖つけられにくい―のだから、これを利用するだろう。悪質な内定取消でなければ、公表されないのだから。
そう考えると、むしろ、この新卒内定者に対する内定辞退の強要は、利益を上げるための物である、と考えるのが合理的なんじゃないか?
その理由(ブラック企業のロジック)は、こうだ:
- 今年は売上の縮小が予想されるが、新卒を取り過ぎてしまった。だが、教育等余計なコストは掛けたくない。
- だが、厚労省に内定取消の申請をするのは、無理だ。なぜなら、利益はそこそこ上げている。
- 従って、会社から内定を取り消すのではなく、「辞退」をさせればよい